水位:時又(天竜川) -3.69m(初日),-3.83m(2日目)
最高/最低気温:飯田市 25/7℃
漕行距離:29.7km(初日 19.0km, 2日目 1.3km+9.4km)
(前編はコチラ)
途中、例によって謎の叫び声とか下生えをゆらすガサガサ音とかに程よくビビって何度か目を覚ましながら、でもトータルでは家で寝るより睡眠時間確保されてた。最低気温7度はタープもビビィもなしだとさすがにウキグモでも快適ぎりぎりラインかも。
今日は早めの出立だ。9時半ごろの飯田線に乗らなければならないので、食事と撤収作業と唐笠港まで漕ぐ時間から逆算して行動開始する。河原へ降りて朝食を。半分残しておいたご飯に、これも残しておいたおでん汁をかけて温めて雑炊化。あとソーセージ焼いてたんぱく質補給。前泊があるプランなので家から冷凍食材持ってくるいつもとは勝手が違う。
灰の処理とか野営系の撤収作業はつつがなく進む。そもそも展開した荷物少ないし。最大の試練は着替えだった。気温8℃くらいの屋外で、まだ湿っているウェアに着替えるつらさ。それでもちゃんと干してあったからだいぶマシだと思う。
今回の服装。先日の久慈川とほぼ同じ感じでファイントラックづくしだ。ドライレイヤー・ウォームの上下とフラッドラッシュの上下は適応できる環境幅がひろくてかなり優秀だと思う。ただパドラー特有の課題としてずっと座イス的座位姿勢が続くため腰部が浮いた感じになって冷えやすい気がする。これはきっとフラッドラッシュの生地で長めのハラマキをつくってくれたら改善しそうに思う。もしくは背中側を胴まで伸ばしたパンツ出すとか。自作するには難易度が高く、製品化には対象層が狭すぎて採算取れず、と思うがファイントラックさんがそこを気まぐれでやらかしてくれないか期待。
足元はクリマプレンのソックスとアクアソックというモンベル構成。これも寒い時期定番化してる。夏場にアクアグリッパー・サンダルを愛用していたが最近すっかり使わなくなった。足の形状の個人差かもしれないが、踵ベルトのホールドがイマイチで脱げやすい。TEVAのXLT2がすごくホールドがよいのと差が大きい。後者は三角形のパーツを介して甲部ベルトを締めたとき踵も一緒に引っ張られて締まるが、前者は甲部ベルトにスリットを入れることで踵ベルトを独立させているため一見それぞれを適切な締め具合にできそうにみえるがよほど踵骨の張り出しが強いかアキレス腱付着部が薄い人でないと踵ベルトがずり落ちてしまうだろう。
アクアソックのソールが現行品でアクアグリッパーに切り替わったことで、私としてはアクアソック推しになった。
なんか今回はギア話に逸れる。ソロゆえに焚き火談義でそのへんの話ができなかった反動かも。ともかく集めたけど使い損ねた薪だけ残して原状復帰。寝室部の方もほぼ復帰だが下生え部分を踏んでいた痕跡だけは残った。これはすぐ消えるだろう。
8時半よりちょっと前に出艇した。予定よりちょっと遅れ気味なのでパドルを熱心に回す。
振り返って野営地を見る。例年より少し遅いらしいらしいが紅葉が始まっているのに気付く。すばらしい楽園よ、ありがとう。
その後、もしあそこを野営地に選ばなかった場合どうだったかの場所物色を続ける。河原で寝るの確定ならここはありだ。
こちらはハンモックならいけそうだが線路近すぎてうるさいし、たまたま車窓外をみている乗客がいたら気付かれる。やはり昨夜の別荘はBESTに近かったと言えよう。
ちゃんと漕いじゃったので20分かからずに唐笠港に着いてしまった。昨日、無事に大船団がゴールしていたから上陸に問題ないことがわかっていた。今年は植物の旺盛な繁茂でやられまくってるので保証があるのは安心する。
ここは業者さんがちゃんと整備してる場所だから勝手に使ってはならぬ。
ちょっと先のここで上陸。
ザックは外して背負い、パドルと艇を肩にかけて斜面を歩く。これをするときはCargoFly荷物格納じゃないことがメリットになる。
踏切を越えて駅前の通路脇に邪魔にならないよう艇をおろす。本日はネコ不在で残念。
泰阜村の管理だと思うのだが、ここに立派なトイレを作ってくれている。掃除も行き届いていて、作りっぱなしで廃虚、みたいな管理とは一線を画している。これが本当にありがたい。
パッケージングは簡単に。列車内を濡らさない程度に水気を切って艇を丸めて手持ち。PFDとヘルメットをザックにまとめて、10分もかからないくらい。列車の時刻まで20分あまった。
車掌さんにキップ発行してもらう。「一駅乗るだけです」と伝えて190円の清算をすませ、車掌さんも「キップはもうもらっておきますね」とそもそも私は一度もキップに触らずに終わる。
門島駅のホームから泰阜ダムの施設が見える。どこか軍港のような印象を受けたのだが、なぜだろう。
ゆっくりと道を下っていくとお社が見える。手持ちの小額硬貨が少なくて悪いが、お賽銭を入れてこのあとの川下りの無事をお願いして手を合わせる。
橋のたもとに郵便局があるが、ここは簡易局ゆえにゆうパックの局留め受け取り作業はできない。発送もできないようだ。送れるなら一部野営系装備は家に送ってしまえば身軽になると思ったが、残念だ。
橋は渡らず、左岸側で川へ降りる。この区間のダウンリバー記録ってほとんどなくて、それこそmatshukomatsuさんの動画くらいしかない。ともかく川へ降りられることだけは確実だ。
あれ、でもここ結構つらいかも。よく見かける、針金の荒いネットで石を覆った護岸の場所を降りる。艇を手持ちしているのでさらにバランスとりがちょっと怖いが、降りられた。
降りたところから少し下流へ歩いて荷物を下ろす。ここからでも出艇できるけど、せっかくだから今後を見越して少し探索しておく。
さっきよりだいぶ緩やかなネット石護岸の畝。登ってから見下ろしたらこんな感じ。
道路側をみると、けもの道があるからここを歩いて来ることはたぶんできるのだろう。
トラロープが足らしてあった。たしかにこれがあると畝の登り降りは楽になる。釣り人が使うように勝手設置している印象。
戻って荷物を背負い、出艇が容易なところまでさらに少し歩いてから準備した。といっても艇ふくらませて荷物載せるだけだから簡単。ゆっくりやっても20分だ。
最初の瀬をこえて振り返って橋を見る。けっこうPR2くらいの瀬になってた。これが続くならセルフベイラーに戻したほうがよいかも、と思ったが、このあとはほぼ瀬はなかった。
また右岸で工事をしていた。これは、なんの工事だろう? 護岸より整地に思われるが。
その後は人の生活が感じられないエリアになる。
あちこち小さな河原があり野営もできそう。
小さな流れ込みなどは工事した様子がみられる。
廃船?みたいなものもあるにはあるが、という程度のみ。
歩行者だけが通れるような小さな吊り橋がある。田本の駅から歩いてきて川を渡れるようで、調べると名前は竜田橋というらしい。
ふと左岸をみると支流をまたぐ橋が別にある。こちらは市場沢橋だそう。ググると秘境マニアがいろいろ書いてくれている。しかし情報量の少なさでいくと川旅派はそれより圧倒的に下だな。
温田に近づくと急に里の風景に変化する。
大きな橋があり、見てると自動車だけでなく歩行者もちらほら。田舎の大きな橋は自動車しか走らないイメージがあるが、観光客かな? 歩行者はこちらに気付くことが多く今回もそうだったので手を振ってみる。
工事現場にサルベージ船みたいなのが浮いている。有線でつながっていて妙に生活感がある。住んでる?
このあたりで流速がほとんどなくなったので頑張って漕ぐ。再び山間部になり風景はよい。
ゴールが近づいたところで2つの大きめな支流が合流する。こちらは右岸側の和知野川。
左岸側が万古川なのだが…
こっちは河原も広いし上陸してみようかな、と近づいたところで水面が一変する。なんだこの透明度!?
上陸して上流へ向けて少し歩いていく。この広い河原の様子からすると、雨が降ると大増水するタイプの川なのかもしれない。
あまりの澄んだ流れに、ダメだ、テンションあがる。今日の行程を伝えたら「和知野川と万古川に癒やされてください」と帰ってきたプロデューサーAのコメントの意味がよくわかった。
ちょうど特急伊那路が通る。どこへでも入る筋金入りの撮り鉄でも、このアングルの写真はまず撮れまい(笑)
荷物降ろして空身の艇だけにしたら、背負って上流まで行けばこの澄んだ流れを下ってこれるかもしれん。マジで検討するくらいにきれいな川だ。地図を追うと一ヶ所だけ橋があるが他は伴走する道路の区間もなく生活用水が流れ込みそうにない。
万が一にも電車をのがすと次は3時間後、という過酷な交通事情でなければやっちゃったかもしれないが、ここは理性的な対応で。艇へもどってゴールを目指すことにする。
水が混じるポイントでその透明度の差を改めて感じる。天竜川は下流にいくほど水が澄んでくる、という話に納得する。汚れではなく通過する土地の地層の影響とのことだが。
対岸がもうゴールの河原だ。なるべく歩く距離を短くしたいので、スロープ状の場所近くまで漕いで上陸する。門島スタートからちょうど2時間かかった。
荷物を下ろして艇の乾燥をしつつ着替える。橋のたもとまでクルマで来れるから人に見られる可能性は皆無ではないが、そんな低確率のためにアグラスカート引っ張り出して下半身を隠す気にもならずフルモンティで。
今回は食材消費などによる体積減少がほとんどないため適当に丸めると荷物がまとめきらない気がする。でも往路と違いラルガライトはパーツ類をすべて外して防水バッグに放り込んでから丸めることができたのでザックの上に載せるやすい。荷物の本体部分が少し大きくなっても問題なくパッケージングできた。
坂道をあがって橋のたもとへ。吊り橋構造だが足元がしっかりしているので大荷物背負っていてもとくに怖くない。瀞峡の山彦橋は足がすくんだものだが。
左手に我が心の万古川の河口が見える。
橋の向こうに看板が。キノコ狩りしに山に入るなら許可を取れ、とのこと。
橋を渡った先はすぐに駅がある、というか駅しかない。難読駅名として名高い為栗駅だが、グリはともかくどこからシテがきているのかさっぱりわからん。これもググると推測由来が出てくるけれど。路線検索でシテまでいれるとここと四天王寺なんとかの2つしか候補に出てこないので発音的にもかなりレア。
最初、ゴールを左岸にしてこのあたりの斜面をあがってくるのを検討していたが、アガタさんに却下された。苦労するだけでいいことないと。川から眺めて私もそう思った。Google Mapではそのへんのところはわからないので経験者コメントはとてもありがたい。
ちょっとした待合があるだけなのだが、列車到着時刻が近くなったらスピーカーからアナウンスが流れた。すれ違いの影響で3分ほど遅れますって。これは人感センサーとかで人がいることがわかってるのか、誰もいなくてもこのへんの無人駅全部に一斉放送かけてるのか。いずれにせよありがたい。
列車は乗ってすぐはガラガラで、車掌さんもゆっくり動作でキップ清算してくれたが、隣の温田で高校生軍団が乗ってきて車内は一変する。この時間でもう授業おわりなんだ。
乗り換えなしで飯田まで行ける。高速バスの乗り換えまで15分ないから帰路は荷物を宅配便に任せず持って帰る。バスタ新宿からは山手線で冷たい目に耐えるだけですむからよいだろう。インバウンドの巨大スーツケースよりかはコンパクトだし。
道路工事の影響で下道通行区間ができたことと小仏付近の渋滞とのために40分ほど遅れたが概ね順調。ちなみに日曜帰りのみなさんは中央道で3時間の渋滞にはまったそうだ。
天竜川下り祭の2回目参加でした。自分だけExtendしてみましたが、昨年あたりをつけていた天竜峡はやはり楽園でした。
門島からの区間は、悪くないけど出艇に苦労するわりには、という感じでしょうか。それならいっそ為栗から出艇して万古川の澄んだ水に感動するだけというニッチなツアーにしてみてもよいかも。
11月はあちこち遠征して遊び倒すつもりなので、今からその計画練って楽しんでます。ここばかりは暖冬傾向が続くことに期待。
今回の個人的学びと今後の課題
・宅配ロッカーから発送する宅急便のなんと楽なことか
・宅急便利用に厚手ビニール袋ではなく自転車用の輪行バッグを流用。耐久性など評価継続
・ウキグモのパックラフト・ベッド利用については次回検証
・後付けデッキは寒い時期に有用 他の艇にも使い回せないか実験を
今回のお礼ふるさと納税:泰阜村に、返礼品なしで 唐笠駅のトイレに感謝とその維持に期待して(トイレ管理者ちがったらごめん)
(前編はこちら)
2024年10月28日
2024年10月27日
2024/10/20-21 天竜川 市田〜唐笠+門島〜為栗 恒例の川下り祭+Extend(前編)
水位:時又(天竜川) -3.69m(初日),-3.83m(2日目)
最高/最低気温:飯田市 25/7℃
漕行距離:29.7km(初日 19.0km, 2日目 1.3km+9.4km)
(後編はコチラ)
恒例の天竜川・川下り祭に、昨年に引き続き参加させてもらってきました。
昨年参加の折りに、天竜峡の後半部分の河原の様子があまりに魅力的でこれは野営するしかないだろうと、今回は気合いで有給休暇を+1日確保しての参戦です。
東京から南信エリアへの交通アクセスはあまりよくなくて、やはり高速バスを利用するのが無難だ。12時ごろにバスタ新宿から乗って飯田駅前まで約4時間半。1000円を余分に払って2シート占有確定をかける。空いていれば運良く横に誰もいないということもありうるが、長時間なだけにここは奮発したい。
今回は駅近くのホテルに事前に荷物を送っておいた。宅配ボックスから宅急便を発送するというワザを娘が使っているのをみて、こいつはいい!と狙っていた。自転車の輪行バックに包んで普通の荷物っぽくして(笑)、ヤマトさんにお願いして置いたらいつのまにやら運び出してくれていた。送っていけない物を抜き取ることと事前準備しておく必要があることなどの敷居はあるが、ものすごく快適だった。今後も利用しよう。
明日は晴れるとの天気予報だが今夜は雨。現時点ですでに時又の水位計は去年より少し高くなっている。野営装備を積んでの鵞流峡はフリップするとちょっとつらいのではないかとバスの中で考えていた。ここは打てる手は打っておこう。
ホテルにチェックインして送っておいた荷物を受け取って部屋に入るやいなや荷物の選別を開始。すでにある程度は分けておいたので、川下り装備+万が一のとき着替えて帰れるものだけを抜き出してEndura 50に詰め込む。これに肩掛バンド装着して、これをもって急ぎ駅へ戻って電車に乗る。
前夜祭参加の前に、会場より2つ手前の時又駅で下車する。当然ながら無人駅。
ここから歩いて川の近くの公園へ。雨の中でかつ18時ごろでもう真っ暗。キーリングに常時つけてあるミニライトを頼りに草むらをかきわけてすすむ。川からアプローチしやすいであろう岩の影に荷物をこっそりデポした。狩野川の年越しダウンリバーでプロデューサーAが薪をデポしたののまねっこですな。ありがとうございます、Aプロ!
身軽になり無事に駅まで戻ってきて、ふと視線を下に向けると、なんじゃこりゃ!
どうやら草むらにはくっつき系の種の草が群生していたらしい。これはどう処理すればよいものか。幸いにも長めのレインコートを着ていたので種もほとんどそちらには付着できず、太ももより上は無事だった。手でいちいち取り除くのは気の遠くなる作業なので、財布からどこぞの会員カードを引っ張り出し硬めのそれでこそぎ落としていった。20分ほどの格闘の末にほぼ種の除去に成功した。植物の力はあなどれない。
再び電車で天竜峡まで行き、雨の中を前夜祭のお店まで歩いていく。19時集合より早めに着いたのに参加者の7割方はもう揃っていた。雨が本降りになる前にとみな早め行動したらしい。
今年はキムチ鍋でした。去年のカレー鍋もとてもおいしくて、とくにレタスをほぼ葉を全形のまま放り込む大胆な手法に感心したが、今年も負けていない。
しかも店主さんのお心尽くしで、松茸ご飯までご馳走になってしまった。近くでとれた、真性の国産とれたての松茸。よい香りの炊き込みご飯であった。
参加者はそうそうたる顔ぶれで、とくに中部圏の猛者からは教えてもらいたいことがたくさんありすぎて、話をしていると3時間のタイムリミットはすぐにやってきた。仕事のために艇を買った方とか、前夜祭だけ参加でいらした方とか、話をしていて刺激的だ。晩秋にあちこち出かける計画の私としては欲しかった知識をもらえて大満足だが、対する自分の話が役に立った気がしないのがちょっと申し訳ない。
さて近くで車中泊するという人々を置き、後ろ髪を引かれながら前夜祭をあとにする。終電で飯田まで戻らないと。この昔ながらのボックスシート、好きなんだよねぇ。
川下り祭当日。朝の集合時刻はちょっとゆっくり目だが、欲しかった食材が駅近コンビニになかったため朝のお散歩がてら少し離れたコンビニへ向かう。ファミマになかったおでんがローソンには3種類もあったのはなぜ?
デポしたおかげでだいぶ軽量・コンパクト化したCargo 55を背負って駅へ。飯田始発の列車で市田へ向かうので自分は先に乗り込んでおく。みなさんは天竜峡からの列車で来て乗り換え予定。
そして異様な一団が乗り込んでくる。カラフルな装いに、みなが大荷物背負って、中には変なカメラ付けたヘルメット被ってるヤツまでいるぞ(笑)。他のお客さん少なくてよかった。
市田駅で降りてトイレなどすませると川まで歩く。ほんの5分くらいでもう川につき、出艇向きの場所までもほんのそこから2分くらい。ここは私にはかなり条件のいい出艇場所だ。近くに買い物できるお店がないのだけは残念。ここで先に待っていた人たちも加わり、ランチで合流のお二人を除く全員が集合した。18人・17艇の大船団だ。
昨年体験したからわかるが、この人たちの出艇準備はあまりに素早い。確実に自分の準備がビリになる自信があったため着替えも艇のオプション装着もできるだけすませた状態でやってきた。
せっかくアガタさんも参加の祭でグリフォンラフト率が高いからと私もラルガライトでの参戦だ。しかもこれが真のフル装備! オプションのリムーバブル・デッキの実戦配備は今回が初めて。ドヤる私に「セルフベイラーにデッキってどう?」という至極まっとうな質問をかえす ゆーさん。この場には同じオブションデッキ装着者がもう2人いる。これから下ってみれば有用性は判断できるであろう。
私の準備が終わる頃には案の定みなさん準備はすでに終わって水の上に出ている。全員がスタンバイできたところで三々五々、流れに出て行く。
最初の瀬を越えてしばらく行った左岸で一旦とまって追加のエア入れタイム。む、このいい感じなブルーグレーのつや消し艇は、先日の松本でのイベントでお目見えしていた新艇ではないか。アガタさん、さっそく実戦投入ですか。このつや消し生地と触り心地はココペリ艇を思わせる。寝たときのサラサラ感はこちらの方がいいとひそかに思っているが、パックラフトにベッドとしての性能を求めている人はあまり多くないだろう。
とても風が強い。だが基本は追い風なのでパックラフトにはありがたい。雲も流されて青空成分が多くなってきた。
そう、そしてあの目立つ色の2艇もおられる。昔の某ロボットアニメの天才パイロット・カップルのようだ。あれは青と赤か。
いろとりどりのパックラフト(とSUPが一艇)の船団。みなさん選ぶ色のオリジナリティがあって楽しい。自分はどうも地味目を選びがち。
弁天港までくると、続く難所が意識されてくる。自分としては今回の行程で最大の沈確率はここだと思っている。鵞流峡の出口直前のほうが落ち込みが大きくて前の艇の姿が消えるというダイナミックさがあるけれど、波が複数方向から寄せるという点で難易度はこちらが上だろう。
無事にしのぎきれた。荷物、軽くしておいてよかった。GoPro組でない私は当然ここの写真は撮れない。
この岩たちを眺めたのち右岸の護岸ぎわを流れていくと、
見えてくる橋。ここから鵞流峡だ。
小休止&スカウティングタイムをとる。だが風が強くて寒い! パドリング中は上半身は動かしているし、しゃがんだ状態だからあまり気にならなかったが、静止中は風に体温を持っていかれる。とくにウェット系を着てる自分はどうにもならん。パドリングジャケット持ってくればよかったのだけれど移動中に使える汎用性はない品だからつい置いてきちゃう。バウバッグにしのばせておいたウインドブレーカーを羽織って凌ぐ。艇を立てて風よけにしている人が正解だったかもしれない。
昨年と大きく変化した流れに対するスカウティングの班の報告では、最初の瀬は左から入って右へ抜ければ問題ないだろうと。実際とくに難度高くなくクリア。その先で右岸に一度とまってライン下りの船を2艘、手を振りながら笑顔で見送る。これ大事。
鵞流峡の内側はあまり困るような瀬はない。これも以前と変わったのかな。と油断してお一人フリップ。この人数だと艇の回収も本人のレスキューもマンパワーに余裕ありすぎて手を出す余地がない。
峡の後半で右へ曲がっていくところは少し長く続く瀬になっている。サニエモツアーでは艇を背負って左岸を歩いて戻り2回楽しんだっけ。ライン取りによって艇のコントロール難易度が変化するのでここは楽しい。名残惜しく振り返って見る。
峡の出口は、真っすぐで単純な流れだけれど波の高低がこのコース最大の瀬となっている。20mほど先行している人がほんとに視界から消え、次の瞬間に飛び出してくる。自分もぴょんぴょん跳ねる。軽量級の少年はどれほど跳ねていることか。ここはGoPro組の動画とかきっと面白いだろう。例によって私は過ぎた後の瀞場でしか写真は撮れぬ。
ここで感じたが、リムーバブルデッキはかなり効果が高い。普段ならバウバッグを超えて入ってくる水が激減し、また下半身の空間の空気が動かないため暖かい。艇との隙間から少量の水は入るわけだが、そもそもがセルフベイラー艇ではそんなの誤差範囲。あとはこいつをさらに流用できればよいのだが。具体的にはビビィonパックラフト・ベッド時に頭部分のミニタープとして使える工夫。いまはGnu S+Capeでやっているが、このデッキをうまく持ち上げてビビィのポールにひっかけたら雨の日の最低限の生活空間とれないだろうか。検討課題。
さて峡を抜けて急に視界が広がる。穏やかな流れになり、右手に「しんきん」の文字が目に入るとデポ・ポイントだ。
matsukomatsuさんに一声かけて船団を一時離脱して右岸の岩を登る。この頂上部分の岩陰に荷物を隠しておいたが無事に回収できた。バウにつけてあったCargo 55のベルトを緩めてここに差し込んで締め直すだけという簡単セット体制にしてあってそのとおりスムーズに作業できたのだが、その間に船団は見えなくなるほど進んで行ってしまっていた。さすが追い風。
さらばデポ・ポイントよ。またこの場所の状況とアクセスを知る元となったサニエモさんにも改めて感謝だ。実はここ、もうちょっと少人数ならランチ場所にもすごくいいと思ってるんだよね。
時又港でゴールした船を積む作業。クレーンがかっこいいなぁ。
ほとんど瀬もなくゆるやかな流れのエリア。岸は植物天国となっていて上陸には向かないけれど。
天竜峡に入る直前のランチタイム・ポイントに到着。みなさんもうすっかりランチモードです。遅れてすんません。
いまださんのお弁当。これを川旅で食べられるとはなんと贅沢な。昨年は茄子田楽のお弁当を選んでそのうまさに感激しつつも横目にみる唐揚げ弁当に微妙に心惹かれるという状況に陥っていたが、今年は両方入り! うまし!!
食事を終えるとみなさん休憩ご歓談タイムですが、私にはやることがある。これの装着が。
元気商会さんで開発中商品のドレンプラグ。セルフベイラー艇のホールを潰して風呂桶船(言い方が悪いけどわかりやすいと思うので)にするための品だ。使いどころが難しい品かと思うが、今回のような前半が激流で後半まったり、という構成の川下りで最大の利用価値がでるのだろうと思って使わせてもらった。
構造は単純で、プラ製のボルトセット+ゴムパッキンで艇のホールを挟んで締める、というもの。穴の数だけその作業をしなければならないので煩雑ではあるが確実性は高い。作業に手間取っているところをお手伝いして下さったYさん、ありがとうございます。
もう先に感想を。これはたしかに有効でした。足元とおしりが水濡れしなくなるので寒くない。また喫水線が下がるため視界変化やパドルを回す角度が変わるくらいに高さの変化が出る。これは面白い。作業の時に外してそのままにしてしまったが、オプションデッキを併用すると暖かさはさらに改善するだろう。
もちろん気になる点もある。途中で緩んで脱落するといやだと思ってしっかり締めつけしたのだが、帰宅後に外そうとしたら硬くて手こずった。現場で外せないとまずいと思って最後まで手で取り外し作業してみてそれは可能だったが、握力がないと外せないケースが出るかもしれない。これはちょっと工夫考えたい。
全行程で装着するなら、デッキ無しの艇も持ってる人はそっちにしたほうが軽くてよいだろう。途中で状況がかわるような川での利用では効果的なので、今回のような使い方をするのには大変よい。私は今年もう一回くらいこのパターンにはまる見込みあり。
前後2つ分くらいは付けっぱなしでいいと思うよ、という開発者の言あり、しばらくそれで使ってみようかと思っている。
閑話休題。天竜峡へ入っていく。切り立った両岸の岩と、そこにかかる橋。
宿泊施設、宿泊費お高いんだろうなぁ。
複数の橋が組み合わさるのも天竜峡の特徴。
天気よくなってきたなぁ。
さて私はここから特殊ミッションに入る。みんなから離脱して自分だけ野営する準備だ。
適地はもういくつもあるので迷うが、あまり贅沢な条件つけて優柔不断でいると唐笠港に着いちゃうかもしれない。いくつかの条件を満たすここを今日の野営地とする!
事前にお伝えしておいた方が多かったが、私が上陸したことで初めて離脱のことを知った参加者もおられて、わざわざ漕ぎ戻って挨拶してもらったりして大変ありがたかった。
漕ぐ去っていく姿を見送るというのは、初めての経験かもしれない。みんな、ありがとう〜!
船団が遠ざかっていき、ひとり河原に佇む。見回すとこんな場所だ。石が主体の広めの河原があり、そこから植物に覆われた緩い斜面をかき分けてのぼると木々が立っている。この木々が重要。
今回はできたらハンモック泊にしようと思って準備してきた。だが川辺でいい設置ポイントが得られる確率は低い。ひとまず荷物は置いたまま斜面をのぼって見に行って見ると、どうやら賭けに勝ったようだ。下生えのないよさげな場所だった。木々の間隔がジャストフィットとは言えないのまでは高望みしすぎだろう。
川装備以外をもってきて、ともかく寝床の設営をすませた。この作業の楽さがハンモック泊の利点。
乾いた服に着替えてパドルウェア一式をリッジラインにかけて干すと、まずは横になる。暖かいダウンに包まれた状態に満足していると電車の音が。横を見ると飯田線が川向こうの森の切れ目を走り抜けていく。
またギアの話でなんですが。
今回はハンモック/パックラフト・ベッドのいずれで寝れるか確証がない情報不足の状態だった。どちらに転んでもよい装備ということで考えた結果、ウキグモを持ってきた。凌ブランドの誇るハンモックのフラッグシップともいうべき逸品。単純に言えば、ハンモック本体にアンダーキルトが縫い付けられていてさらにジッパーで着脱できるトップキルトも一体化している構造だ。
今回はハンモックとして使ったが、パックラフト・ベッドで寝るときには艇のシートの上にSOLエスケーブビビィXLを置いてその中にイナーシャ X-Liteを敷き、ウキグモをシュラフとして使えばよかろうと考えた。
覆いとしてはペリカンタープを持ってきた。薄くて弱いから強風では破れるリスクがあるが、半閉鎖のハンモック・タープが本来の役割の品なので今回の流用にはよいはず。でも結局今回タープ張らなかったんだよね。風なかったし。
終わってみると実はちょっと後悔している。ウキグモでのハンモック泊がかなりの寒さでも快適なことは体験しているのだから、今後を考えたらパックラフトで寝るのが実際どうなのか確認しておくべきだったのにと。次回の課題に先送り。
ほっこりタイムを終えて夕食を考える時間になる。防炎シートを持ってこなかったから落ち葉の積もるハンモック脇では火を扱いづらい。河原に移動して調理と食事にしよう。うーむ、これもパックラフト・ベッドにしとけばよかった要因だな。
ちなみに寒さ対策にはアグラスカート持ってきている。あとウキグモのトップキルトを外して羽織ってる。これでかなり暖かい。
FP Matがあるので河原に敷いて座ってもいいのだけれど、火の粉に気をつけながらパックラフトに座って過ごすことにした。
調理にも焚き火を使うつもりなのでNINJA FireStand soloを持ってきた。薪は河原にいくらでも落ちている。やはりここは楽園か。
メスティン炊飯については、最近X-meshをゴトク兼風防のようにしてエスビット・コマンド火をつける形で安定した。高さが低いバージョンを出してくれたことで中小のメスティンを入れ子にした隙間にジャストフィットして持ってこれるようになったからとてもありがたい。
炊飯待ちの間にちょっとつまんでしまおう。ファミマにおいてあった五平餅。パックごと湯煎して味噌かけるだけの簡易版だけどおいしい。
夕食のおかずはおでん。単独で酒といっしょにつまもうかと思っていたが、おかずに昇格した。卵も大根もよい出来栄えのパックだった。セブンのよりおいしいと思う。ローソンあなどれん。
お腹が満足したのでしばらく焚き火タイム。前夜祭でけっこうビール飲んで満足してたから身体がお酒を求めない。泡盛を50mL舐め切る前に満足してしまった。集めた薪を使い切らず、調理に使った分が燃え尽きるところで就寝することにした。川友と焚き火を囲んで遅くまで話をするのも楽しいが、ソロもそれはそれで悪くない。
ハンモックへ戻ってトップキルトを再連結して横になる。明るい月が出てきて少しまぶしいくらいになり、タープ張っとけばよかったかなとちょっと思いながら、でも寝ちゃう。
(後編へ続く)
最高/最低気温:飯田市 25/7℃
漕行距離:29.7km(初日 19.0km, 2日目 1.3km+9.4km)
(後編はコチラ)
恒例の天竜川・川下り祭に、昨年に引き続き参加させてもらってきました。
昨年参加の折りに、天竜峡の後半部分の河原の様子があまりに魅力的でこれは野営するしかないだろうと、今回は気合いで有給休暇を+1日確保しての参戦です。
東京から南信エリアへの交通アクセスはあまりよくなくて、やはり高速バスを利用するのが無難だ。12時ごろにバスタ新宿から乗って飯田駅前まで約4時間半。1000円を余分に払って2シート占有確定をかける。空いていれば運良く横に誰もいないということもありうるが、長時間なだけにここは奮発したい。
今回は駅近くのホテルに事前に荷物を送っておいた。宅配ボックスから宅急便を発送するというワザを娘が使っているのをみて、こいつはいい!と狙っていた。自転車の輪行バックに包んで普通の荷物っぽくして(笑)、ヤマトさんにお願いして置いたらいつのまにやら運び出してくれていた。送っていけない物を抜き取ることと事前準備しておく必要があることなどの敷居はあるが、ものすごく快適だった。今後も利用しよう。
明日は晴れるとの天気予報だが今夜は雨。現時点ですでに時又の水位計は去年より少し高くなっている。野営装備を積んでの鵞流峡はフリップするとちょっとつらいのではないかとバスの中で考えていた。ここは打てる手は打っておこう。
ホテルにチェックインして送っておいた荷物を受け取って部屋に入るやいなや荷物の選別を開始。すでにある程度は分けておいたので、川下り装備+万が一のとき着替えて帰れるものだけを抜き出してEndura 50に詰め込む。これに肩掛バンド装着して、これをもって急ぎ駅へ戻って電車に乗る。
前夜祭参加の前に、会場より2つ手前の時又駅で下車する。当然ながら無人駅。
ここから歩いて川の近くの公園へ。雨の中でかつ18時ごろでもう真っ暗。キーリングに常時つけてあるミニライトを頼りに草むらをかきわけてすすむ。川からアプローチしやすいであろう岩の影に荷物をこっそりデポした。狩野川の年越しダウンリバーでプロデューサーAが薪をデポしたののまねっこですな。ありがとうございます、Aプロ!
身軽になり無事に駅まで戻ってきて、ふと視線を下に向けると、なんじゃこりゃ!
どうやら草むらにはくっつき系の種の草が群生していたらしい。これはどう処理すればよいものか。幸いにも長めのレインコートを着ていたので種もほとんどそちらには付着できず、太ももより上は無事だった。手でいちいち取り除くのは気の遠くなる作業なので、財布からどこぞの会員カードを引っ張り出し硬めのそれでこそぎ落としていった。20分ほどの格闘の末にほぼ種の除去に成功した。植物の力はあなどれない。
再び電車で天竜峡まで行き、雨の中を前夜祭のお店まで歩いていく。19時集合より早めに着いたのに参加者の7割方はもう揃っていた。雨が本降りになる前にとみな早め行動したらしい。
今年はキムチ鍋でした。去年のカレー鍋もとてもおいしくて、とくにレタスをほぼ葉を全形のまま放り込む大胆な手法に感心したが、今年も負けていない。
しかも店主さんのお心尽くしで、松茸ご飯までご馳走になってしまった。近くでとれた、真性の国産とれたての松茸。よい香りの炊き込みご飯であった。
参加者はそうそうたる顔ぶれで、とくに中部圏の猛者からは教えてもらいたいことがたくさんありすぎて、話をしていると3時間のタイムリミットはすぐにやってきた。仕事のために艇を買った方とか、前夜祭だけ参加でいらした方とか、話をしていて刺激的だ。晩秋にあちこち出かける計画の私としては欲しかった知識をもらえて大満足だが、対する自分の話が役に立った気がしないのがちょっと申し訳ない。
さて近くで車中泊するという人々を置き、後ろ髪を引かれながら前夜祭をあとにする。終電で飯田まで戻らないと。この昔ながらのボックスシート、好きなんだよねぇ。
川下り祭当日。朝の集合時刻はちょっとゆっくり目だが、欲しかった食材が駅近コンビニになかったため朝のお散歩がてら少し離れたコンビニへ向かう。ファミマになかったおでんがローソンには3種類もあったのはなぜ?
デポしたおかげでだいぶ軽量・コンパクト化したCargo 55を背負って駅へ。飯田始発の列車で市田へ向かうので自分は先に乗り込んでおく。みなさんは天竜峡からの列車で来て乗り換え予定。
そして異様な一団が乗り込んでくる。カラフルな装いに、みなが大荷物背負って、中には変なカメラ付けたヘルメット被ってるヤツまでいるぞ(笑)。他のお客さん少なくてよかった。
市田駅で降りてトイレなどすませると川まで歩く。ほんの5分くらいでもう川につき、出艇向きの場所までもほんのそこから2分くらい。ここは私にはかなり条件のいい出艇場所だ。近くに買い物できるお店がないのだけは残念。ここで先に待っていた人たちも加わり、ランチで合流のお二人を除く全員が集合した。18人・17艇の大船団だ。
昨年体験したからわかるが、この人たちの出艇準備はあまりに素早い。確実に自分の準備がビリになる自信があったため着替えも艇のオプション装着もできるだけすませた状態でやってきた。
せっかくアガタさんも参加の祭でグリフォンラフト率が高いからと私もラルガライトでの参戦だ。しかもこれが真のフル装備! オプションのリムーバブル・デッキの実戦配備は今回が初めて。ドヤる私に「セルフベイラーにデッキってどう?」という至極まっとうな質問をかえす ゆーさん。この場には同じオブションデッキ装着者がもう2人いる。これから下ってみれば有用性は判断できるであろう。
私の準備が終わる頃には案の定みなさん準備はすでに終わって水の上に出ている。全員がスタンバイできたところで三々五々、流れに出て行く。
最初の瀬を越えてしばらく行った左岸で一旦とまって追加のエア入れタイム。む、このいい感じなブルーグレーのつや消し艇は、先日の松本でのイベントでお目見えしていた新艇ではないか。アガタさん、さっそく実戦投入ですか。このつや消し生地と触り心地はココペリ艇を思わせる。寝たときのサラサラ感はこちらの方がいいとひそかに思っているが、パックラフトにベッドとしての性能を求めている人はあまり多くないだろう。
とても風が強い。だが基本は追い風なのでパックラフトにはありがたい。雲も流されて青空成分が多くなってきた。
そう、そしてあの目立つ色の2艇もおられる。昔の某ロボットアニメの天才パイロット・カップルのようだ。あれは青と赤か。
いろとりどりのパックラフト(とSUPが一艇)の船団。みなさん選ぶ色のオリジナリティがあって楽しい。自分はどうも地味目を選びがち。
弁天港までくると、続く難所が意識されてくる。自分としては今回の行程で最大の沈確率はここだと思っている。鵞流峡の出口直前のほうが落ち込みが大きくて前の艇の姿が消えるというダイナミックさがあるけれど、波が複数方向から寄せるという点で難易度はこちらが上だろう。
無事にしのぎきれた。荷物、軽くしておいてよかった。GoPro組でない私は当然ここの写真は撮れない。
この岩たちを眺めたのち右岸の護岸ぎわを流れていくと、
見えてくる橋。ここから鵞流峡だ。
小休止&スカウティングタイムをとる。だが風が強くて寒い! パドリング中は上半身は動かしているし、しゃがんだ状態だからあまり気にならなかったが、静止中は風に体温を持っていかれる。とくにウェット系を着てる自分はどうにもならん。パドリングジャケット持ってくればよかったのだけれど移動中に使える汎用性はない品だからつい置いてきちゃう。バウバッグにしのばせておいたウインドブレーカーを羽織って凌ぐ。艇を立てて風よけにしている人が正解だったかもしれない。
昨年と大きく変化した流れに対するスカウティングの班の報告では、最初の瀬は左から入って右へ抜ければ問題ないだろうと。実際とくに難度高くなくクリア。その先で右岸に一度とまってライン下りの船を2艘、手を振りながら笑顔で見送る。これ大事。
鵞流峡の内側はあまり困るような瀬はない。これも以前と変わったのかな。と油断してお一人フリップ。この人数だと艇の回収も本人のレスキューもマンパワーに余裕ありすぎて手を出す余地がない。
峡の後半で右へ曲がっていくところは少し長く続く瀬になっている。サニエモツアーでは艇を背負って左岸を歩いて戻り2回楽しんだっけ。ライン取りによって艇のコントロール難易度が変化するのでここは楽しい。名残惜しく振り返って見る。
峡の出口は、真っすぐで単純な流れだけれど波の高低がこのコース最大の瀬となっている。20mほど先行している人がほんとに視界から消え、次の瞬間に飛び出してくる。自分もぴょんぴょん跳ねる。軽量級の少年はどれほど跳ねていることか。ここはGoPro組の動画とかきっと面白いだろう。例によって私は過ぎた後の瀞場でしか写真は撮れぬ。
ここで感じたが、リムーバブルデッキはかなり効果が高い。普段ならバウバッグを超えて入ってくる水が激減し、また下半身の空間の空気が動かないため暖かい。艇との隙間から少量の水は入るわけだが、そもそもがセルフベイラー艇ではそんなの誤差範囲。あとはこいつをさらに流用できればよいのだが。具体的にはビビィonパックラフト・ベッド時に頭部分のミニタープとして使える工夫。いまはGnu S+Capeでやっているが、このデッキをうまく持ち上げてビビィのポールにひっかけたら雨の日の最低限の生活空間とれないだろうか。検討課題。
さて峡を抜けて急に視界が広がる。穏やかな流れになり、右手に「しんきん」の文字が目に入るとデポ・ポイントだ。
matsukomatsuさんに一声かけて船団を一時離脱して右岸の岩を登る。この頂上部分の岩陰に荷物を隠しておいたが無事に回収できた。バウにつけてあったCargo 55のベルトを緩めてここに差し込んで締め直すだけという簡単セット体制にしてあってそのとおりスムーズに作業できたのだが、その間に船団は見えなくなるほど進んで行ってしまっていた。さすが追い風。
さらばデポ・ポイントよ。またこの場所の状況とアクセスを知る元となったサニエモさんにも改めて感謝だ。実はここ、もうちょっと少人数ならランチ場所にもすごくいいと思ってるんだよね。
時又港でゴールした船を積む作業。クレーンがかっこいいなぁ。
ほとんど瀬もなくゆるやかな流れのエリア。岸は植物天国となっていて上陸には向かないけれど。
天竜峡に入る直前のランチタイム・ポイントに到着。みなさんもうすっかりランチモードです。遅れてすんません。
いまださんのお弁当。これを川旅で食べられるとはなんと贅沢な。昨年は茄子田楽のお弁当を選んでそのうまさに感激しつつも横目にみる唐揚げ弁当に微妙に心惹かれるという状況に陥っていたが、今年は両方入り! うまし!!
食事を終えるとみなさん休憩ご歓談タイムですが、私にはやることがある。これの装着が。
元気商会さんで開発中商品のドレンプラグ。セルフベイラー艇のホールを潰して風呂桶船(言い方が悪いけどわかりやすいと思うので)にするための品だ。使いどころが難しい品かと思うが、今回のような前半が激流で後半まったり、という構成の川下りで最大の利用価値がでるのだろうと思って使わせてもらった。
構造は単純で、プラ製のボルトセット+ゴムパッキンで艇のホールを挟んで締める、というもの。穴の数だけその作業をしなければならないので煩雑ではあるが確実性は高い。作業に手間取っているところをお手伝いして下さったYさん、ありがとうございます。
もう先に感想を。これはたしかに有効でした。足元とおしりが水濡れしなくなるので寒くない。また喫水線が下がるため視界変化やパドルを回す角度が変わるくらいに高さの変化が出る。これは面白い。作業の時に外してそのままにしてしまったが、オプションデッキを併用すると暖かさはさらに改善するだろう。
もちろん気になる点もある。途中で緩んで脱落するといやだと思ってしっかり締めつけしたのだが、帰宅後に外そうとしたら硬くて手こずった。現場で外せないとまずいと思って最後まで手で取り外し作業してみてそれは可能だったが、握力がないと外せないケースが出るかもしれない。これはちょっと工夫考えたい。
全行程で装着するなら、デッキ無しの艇も持ってる人はそっちにしたほうが軽くてよいだろう。途中で状況がかわるような川での利用では効果的なので、今回のような使い方をするのには大変よい。私は今年もう一回くらいこのパターンにはまる見込みあり。
前後2つ分くらいは付けっぱなしでいいと思うよ、という開発者の言あり、しばらくそれで使ってみようかと思っている。
閑話休題。天竜峡へ入っていく。切り立った両岸の岩と、そこにかかる橋。
宿泊施設、宿泊費お高いんだろうなぁ。
複数の橋が組み合わさるのも天竜峡の特徴。
天気よくなってきたなぁ。
さて私はここから特殊ミッションに入る。みんなから離脱して自分だけ野営する準備だ。
適地はもういくつもあるので迷うが、あまり贅沢な条件つけて優柔不断でいると唐笠港に着いちゃうかもしれない。いくつかの条件を満たすここを今日の野営地とする!
事前にお伝えしておいた方が多かったが、私が上陸したことで初めて離脱のことを知った参加者もおられて、わざわざ漕ぎ戻って挨拶してもらったりして大変ありがたかった。
漕ぐ去っていく姿を見送るというのは、初めての経験かもしれない。みんな、ありがとう〜!
船団が遠ざかっていき、ひとり河原に佇む。見回すとこんな場所だ。石が主体の広めの河原があり、そこから植物に覆われた緩い斜面をかき分けてのぼると木々が立っている。この木々が重要。
今回はできたらハンモック泊にしようと思って準備してきた。だが川辺でいい設置ポイントが得られる確率は低い。ひとまず荷物は置いたまま斜面をのぼって見に行って見ると、どうやら賭けに勝ったようだ。下生えのないよさげな場所だった。木々の間隔がジャストフィットとは言えないのまでは高望みしすぎだろう。
川装備以外をもってきて、ともかく寝床の設営をすませた。この作業の楽さがハンモック泊の利点。
乾いた服に着替えてパドルウェア一式をリッジラインにかけて干すと、まずは横になる。暖かいダウンに包まれた状態に満足していると電車の音が。横を見ると飯田線が川向こうの森の切れ目を走り抜けていく。
またギアの話でなんですが。
今回はハンモック/パックラフト・ベッドのいずれで寝れるか確証がない情報不足の状態だった。どちらに転んでもよい装備ということで考えた結果、ウキグモを持ってきた。凌ブランドの誇るハンモックのフラッグシップともいうべき逸品。単純に言えば、ハンモック本体にアンダーキルトが縫い付けられていてさらにジッパーで着脱できるトップキルトも一体化している構造だ。
今回はハンモックとして使ったが、パックラフト・ベッドで寝るときには艇のシートの上にSOLエスケーブビビィXLを置いてその中にイナーシャ X-Liteを敷き、ウキグモをシュラフとして使えばよかろうと考えた。
覆いとしてはペリカンタープを持ってきた。薄くて弱いから強風では破れるリスクがあるが、半閉鎖のハンモック・タープが本来の役割の品なので今回の流用にはよいはず。でも結局今回タープ張らなかったんだよね。風なかったし。
終わってみると実はちょっと後悔している。ウキグモでのハンモック泊がかなりの寒さでも快適なことは体験しているのだから、今後を考えたらパックラフトで寝るのが実際どうなのか確認しておくべきだったのにと。次回の課題に先送り。
ほっこりタイムを終えて夕食を考える時間になる。防炎シートを持ってこなかったから落ち葉の積もるハンモック脇では火を扱いづらい。河原に移動して調理と食事にしよう。うーむ、これもパックラフト・ベッドにしとけばよかった要因だな。
ちなみに寒さ対策にはアグラスカート持ってきている。あとウキグモのトップキルトを外して羽織ってる。これでかなり暖かい。
FP Matがあるので河原に敷いて座ってもいいのだけれど、火の粉に気をつけながらパックラフトに座って過ごすことにした。
調理にも焚き火を使うつもりなのでNINJA FireStand soloを持ってきた。薪は河原にいくらでも落ちている。やはりここは楽園か。
メスティン炊飯については、最近X-meshをゴトク兼風防のようにしてエスビット・コマンド火をつける形で安定した。高さが低いバージョンを出してくれたことで中小のメスティンを入れ子にした隙間にジャストフィットして持ってこれるようになったからとてもありがたい。
炊飯待ちの間にちょっとつまんでしまおう。ファミマにおいてあった五平餅。パックごと湯煎して味噌かけるだけの簡易版だけどおいしい。
夕食のおかずはおでん。単独で酒といっしょにつまもうかと思っていたが、おかずに昇格した。卵も大根もよい出来栄えのパックだった。セブンのよりおいしいと思う。ローソンあなどれん。
お腹が満足したのでしばらく焚き火タイム。前夜祭でけっこうビール飲んで満足してたから身体がお酒を求めない。泡盛を50mL舐め切る前に満足してしまった。集めた薪を使い切らず、調理に使った分が燃え尽きるところで就寝することにした。川友と焚き火を囲んで遅くまで話をするのも楽しいが、ソロもそれはそれで悪くない。
ハンモックへ戻ってトップキルトを再連結して横になる。明るい月が出てきて少しまぶしいくらいになり、タープ張っとけばよかったかなとちょっと思いながら、でも寝ちゃう。
(後編へ続く)
2024年10月13日
2024/10/03-04 久慈川 矢祭山〜 下小川 一泊パックラフト(後編)
水位:久慈川(下野宮) 1.16m(1日目)/1.18m(2日目)
最高気温/最低気温:大子町 28℃/18℃
漕行距離:31.9km(1日目 20.1km, 2日目 11.8km)
(前編はこちら)
ほどよい石と砂との比率で野営地として汎用性高し。私の場合は石だけのほうが都合がいいときもあるが、今日はどちらでも。貴重な重量配分を幕に振ってあるから。
YOKA TIPI type2である。実際にはポールをtype 1のカーボン製に入れ替えて(type1は里子行き)少しだけ軽量化をはかってある。
四隅にペグ打って中央のポール立ち上げるだけでひとまず完成という手軽さは、ポール2本のNINJA TARPよりある意味では楽だったりする。2.1kg分の価値がある快適さだ。とくに雨が降ったときでも幕内で立ち上がれる程度に高さがあるのはありがたい。
さらなる軽量化がはかれないかと、Sokitさんで買ったANTCAUSのCarbon Fiber Tent Poleを1本持ってきて、これをセンターポールに置き換えられないか試してみた。純正よりは細いので強度は下がるのかもしれないが問題なく使えそうな感触。
でも今日は純正のままで使う。ダイソーで買ったポールを挟んで使う荷物吊るしホルダーが、ANTCAUSのだと細すぎて使えなかった。こいつでヘッドライトとかスマホとかメガネとかひょいっと引っかけておけるのがとても快適だ。スポンジとか挟んでみて把持力が維持できるか、もしくは他に同等のものを作れないか試してみないと。ANTCAUポール2本とパドルとで半開き形態がとれるなら軽量化できて応用力もあがる。
寝床は、パックラフトはそのままで上にイナーシャ Xライト(こないだついに破れて修復不能となったので2代目)を敷いて、SOLエスケープビビィに潜り込むのを基本形態とした。フラップラップIIを、座ってるときは羽織って、寝るときはシュラフがわりにして使う。想定よりだいぶ暖かかったのでウォームアップシーツは出さず。虫も飛ばないのでバグプルーフ スリーピングネットも余分な荷物になるだけに終わった。
乾いた衣類に着替えてすっきり。下着類だけは2セット持ってきたので豪華(?)に着替えられる。Tシャツとパンツを1セット足すだけで得られる快適。ささやかな贅沢だ。
あまりのども渇いていないし、そのままビビィに潜り込んで一寝入り。道路からそんなに離れていないので車の音は聞こえるが、川の流れの音にほとんど消される。
暗くなり切る前に火を起こそう。今回は家に残ってた炭っぽいもの消費キャンペーンだ。木炭1個とオガ炭を2本分くらい。なんだかんだで使い勝手のよいヘキサゴンウッドストーブの出番が多い。オガ炭の火付きの悪さはこないだ実感したのでエスビットで木炭に火をつけてそこからオガ炭にゆっくり熱を加えていくことにしてみた。これで楽に火付けできた。乾いた小枝があまりなかったのでエスビット使ったが、あればそれを焚き付けにできただろう。火吹き棒がわりにZERO PUMP使ったら楽だった。取り回しのよいエアポンプはすばらしい。
夕食はモツ鍋。家で作るときに材料をちょっとだけ取り置きして冷凍に回してあったのを持ってくる。そろそろ冷凍モツの在庫も切れるから買わないと。
おいしく食べて、残り3割くらいの具になったところで麺を入れる。マルタイラーメンのシリーズは手頃な長さの細麺でこの用途に向いていると思う。
すぐ火が通るしおいしい。麺を食いきって少し具が残ったまま蓋をしてあとは明日の朝へ回そう。
かなりお腹いっぱいなんだけど、せっかくだから焼き鳥を焼く。TrailPotのS1200の方を使っているがこのフライパンが手頃な大きさ。鶏モモとか焼くときにもちょうどいいサイズ。お湯わかすだけ調理ならいらないのだけれど、せっかく川旅なら何か作りたいこだわり。
ほどよい熱を出し続けるオガ炭の火。2本目を放り込んで、たぶんトータル6時間以上は燃えていたのではなかろうか。とても火持ちがいい。適当に気が向いたらTiポットに水入れて載せとくとほどなく湯が沸くという、常時火がついてる北国の田舎のストーブとかと同じノリだ。
夜も更けてきた。このまま休むことにしよう。深夜になり予報になかった雨が降ってくる。パラパラ雨なので、幕のはねあげを降ろさずとも濡らしちゃ行けない荷物の防水バッグ収納だけ確認してそのまま寝ているだけで凌げた。
朝のTrail Potの様子。脂で硬化している。モツから出る脂ってすごいよな。
ガスストーブで温めて、レトルトご飯と卵をいれて雑炊にする。
ほどよくご飯がやわらかくなったらできあがり。ご飯がスープを吸ってくれるので、残す液体もなく食べきれて満足だ。
食休みのあとコーヒーブレイクを入れたりしながら2時間以上すごし、ゆっくりと撤収はじめる。10時ごろには完了した。電車の時刻が律速要素なので今日はかなりスロースタートだ。野営地は痕跡を残さずに。
荷物をスターンに再設置。ゆるい場ではバックパッドをゆるめると荷物の底がいい背もたれになって快適だったりする。
出発して一つ瀬を越えると右岸にさらに広く野営適地が。ここは橋が直接見えてしまうからクルマのライトなどで実際にはあまり快適な夜を過ごせないのかもしれないけれど。
この時間でもまだモヤが強いので写真はぼやけぎみになるけれど、おだやかな流れの、いい景色だ。
キャンプ場エリアも、やっぱり川辺は水際まで植物に覆われてしまっているので、お子さん達がちょっと水を触りに、という様子ではない。
そしてやって来る本日の強敵。第四久慈川橋梁だ。毎年ここのポーテージで苦労させられる。だいたい左に寄って半水没テトラを足元注意しながら歩くんだけど、右端は前から興味あったんだよね。
柱の下の茂みに艇をひっかけて、橋脚下の陸地を使ってスカウティングしてみる。通れそうな流れだがテトラの間にできているため障害物が角張ってる。底はともかく側面をこすると艇が損傷しそうな不安はあるが、行けそうではある。うーん、迷う。
でも中央から左にかけてのここをポーテージするのもつらいし、行く!
結果としては余裕でした。水路状の先で真ん中を邪魔するようなコンクリが顔を出していたりはしていたけれど、流れが早いわけでもないからすんなり回避できた。
またしばしまったり。流れていないかのように見えて、岸を眺めているとちゃんと進んでいることがわかる。ちょっと物足りないからパドルは回すけれど。
ドア。この枠部分が上流に残っているというゆーみーさん情報を得て探しながら下ったつもりだったんだけど見つけられなかった。
上小川橋のたもとはいちおう上小川駅から乗るためのゴール候補1ではあっただけど、この植物繁茂ではとても利用できない。ここは広い石と砂の河原だったはずなんだけど、まったく様相が異なる。
ところどころで浅くなったりしながら、右手に良さげな河原がでてきたりするが、中洲なので野営には向かない。
左岸の上小川キャンプ場は植物に支配されておらず。
橋梁をすぎて右へ回り込む右岸は野営適地として期待できる。
とはいえ、やっぱり植物が水際まできてる場所が多い。
回り込んだ最後で砂と石の駆け上がりのような場所がある。多少の水位変動には耐えるし、陸路で避難もできるしで、ここは野営向きといってよいと思う。
いまだ谷間はもやが漂っているところで中ボス級難所の第二久慈川橋梁が登場。
左岸にあがってスカウティング。とりあえず左半分は通行不能と思ったほうがよいな、これは。
右岸をズームしてみると、ここはちゃんと見れば通れそうにみえる。
再出艇。うまく漕ぎ上がり気味に右岸寄りに行けた。この橋脚の左を抜けて右へ合流するのは行けそうだ。実際にそうしたが、問題なかった。ちなみに一番右はスカウティングできる場所がないし枝が垂れ下がってるしで、詳細不明。
そしてこのあと、ある意味今回の川旅で最大の衝撃が訪れた。
仮設…橋…だと?
まさかここで再び悪魔の建造物と相まみえるとは。工事のためにごく最近つくられたもののようで、まだ筒の入口に滞留物は少なく内部もクリアになっているところのほうが多い。現状では通れるものと判断したが。
通過した下流側から。内部は素直にしてれば問題なく通れるが、内側がひだひだになっている感じなのでうっかりパドルをひっかけて詰まらせたりしたらまずいかもしれず注意は必要。
しかし両岸みてみてもポーテージして再出艇しやすいとはお世辞にも言えない。今後どのくらいの期間これが存在するかで久慈川ダウンリバーを選ぶ率は変わってくると思う。早く工事を仕上げて撤去してもらえるとうれしいが。
西金の左岸の河原。ここも一面が石の河原だった記憶があるが、すっかり野原になっている。
昨年のゴールにした、左からの小さな川の合流部。もはや植物で覆われすぎてあがれる道がみつけられないほど。ゴールの選択肢からは外さざるを得まい。
2本の橋をくぐる。ここから先は3度目となるはず。岸辺の植生が竹中心に切り替わったような覚えがある。
どうという瀬があったりするわけではないが、岸が崩れて倒れ込んだ竹が川の通行を妨げる。
大内野橋の手前でお二人の釣り人に遭遇した。ルアー釣りで、川幅がさほどないところなので対岸ギリギリをそっと漕ぎ抜けるのに気を遣う。下流側の人の様子をみていると、3回キャストして3回ともヒットして釣り上げていた。遠目だけど稚アユっぽい。足元にビクがあるのでなければ、たぶん即リリースしているんだと思う。さすが禁漁期間だけあってよく釣れる。しかしこの橋から丸見えの場所で、漁協さんにみつかったら大変だろうに、勇敢だ。実はここはもう久慈川漁協の管轄エリア外だったりするのだろうか?
川幅が広がり流れがゆるく、風もないので川面が鏡面のようになっている。いまでも充分に美しいが紅葉シーズンはさらにきれいだろう。
下小川橋は直下に障害物が設置されている。以前右を選んでライニングしたが、昨年のゆーみーさん情報では左端が通れるとのこと。
この、みーさんルートを使えたので楽に通過できた。
しばらく浅い場所があるので流れをみながらライニングを避ける。
ここで平山橋が見えてきた。
昨年あたりまで工事していた沈下橋で、大きな漂流物で橋が損傷しないように作られた馬がついている。しかし竹を中心にかなりのものがひっかかっていて通れなくなっている。
しかしそれでも中央付近に1ヶ所、きれいに障害物クリアされているところがあってよかった。
くぐってすぐ左の岸でゴールする。ここも去年は石の河原で、かつ漁のための杭列と小屋が設置されていたはずの場所だ。
除草されていて道路まで歩くのは容易い。パッキング作業場所もあるだろう。
足元を小魚がたくさん泳いでいる。見づらいがおそらくこの写真内で8匹くらいいると思う。魚種はわからないが、鮎なんだろうか。
パッキングは草地の上にマタドールのシートを敷いてその上に荷物を移し、できるだけ葉っぱや砂を荷物に巻き込まないよう注意しながら行う。Zipに噛むことがない、というのはこのような環境での撤収ではとてもありがたい。
30分ほどでパッキング完了して道路へ出る。
橋を渡る。四万十川で沈下橋を渡ったときは縁に何もなかったため落ちそうで怖かった記憶があるが、曲がりなりにもちょろっと柵っぽいものが付いているだけで安心感がある。
上からみるとさらに馬のところにかかっている漂流物の多さを実感する。こいつの撤去は手間がかかるだろうから現実的ではないか。だがそこをなんとかお願い、という気持ちをこめて今回のお礼ふるさと納税は常陸大宮市に出すことにしよう。
踏切を渡って右へ道なりに歩くとほどなく下小川駅へ。
電車の時刻までまだ30分あるので、とりあえず荷物をおいて着替えなどだけ引っ張り出して隣のトイレへ。ここで身体を拭いたり乾いた服に着替えたりした。さっぱりできて気持ちいい。
向かい側のホームにうつって、14時過ぎの列車に乗り込む。ワンマン運行じゃなかったものだから車内で家までの切符清算をしてもらえた。これであとは帰るだけ。水戸駅での乗り換えもスムーズで、ちょっと食べ物を買い込むくらいの時間がとれた。都内までのグリーン車内で軽食をとろう。
恒例の秋の久慈川でした。順調に楽しく川旅できたのだけれど、いろいろと突っ込みどころも多い。大きな橋をかけているのでその間の制限がついてまわるけれど、いずれ自由に下れるように戻るのでしょう。そう信じたい。
平時は釣り人への配慮が必要な川なので、鮎釣り解禁前の5月と10月あたまの禁漁期間をうまく使ってまた来ようと思います。
今回のふるさと納税:常陸大宮市 笑顔大吉ポーク 冷凍しゅうまい
最高気温/最低気温:大子町 28℃/18℃
漕行距離:31.9km(1日目 20.1km, 2日目 11.8km)
(前編はこちら)
ほどよい石と砂との比率で野営地として汎用性高し。私の場合は石だけのほうが都合がいいときもあるが、今日はどちらでも。貴重な重量配分を幕に振ってあるから。
YOKA TIPI type2である。実際にはポールをtype 1のカーボン製に入れ替えて(type1は里子行き)少しだけ軽量化をはかってある。
四隅にペグ打って中央のポール立ち上げるだけでひとまず完成という手軽さは、ポール2本のNINJA TARPよりある意味では楽だったりする。2.1kg分の価値がある快適さだ。とくに雨が降ったときでも幕内で立ち上がれる程度に高さがあるのはありがたい。
さらなる軽量化がはかれないかと、Sokitさんで買ったANTCAUSのCarbon Fiber Tent Poleを1本持ってきて、これをセンターポールに置き換えられないか試してみた。純正よりは細いので強度は下がるのかもしれないが問題なく使えそうな感触。
でも今日は純正のままで使う。ダイソーで買ったポールを挟んで使う荷物吊るしホルダーが、ANTCAUSのだと細すぎて使えなかった。こいつでヘッドライトとかスマホとかメガネとかひょいっと引っかけておけるのがとても快適だ。スポンジとか挟んでみて把持力が維持できるか、もしくは他に同等のものを作れないか試してみないと。ANTCAUポール2本とパドルとで半開き形態がとれるなら軽量化できて応用力もあがる。
寝床は、パックラフトはそのままで上にイナーシャ Xライト(こないだついに破れて修復不能となったので2代目)を敷いて、SOLエスケープビビィに潜り込むのを基本形態とした。フラップラップIIを、座ってるときは羽織って、寝るときはシュラフがわりにして使う。想定よりだいぶ暖かかったのでウォームアップシーツは出さず。虫も飛ばないのでバグプルーフ スリーピングネットも余分な荷物になるだけに終わった。
乾いた衣類に着替えてすっきり。下着類だけは2セット持ってきたので豪華(?)に着替えられる。Tシャツとパンツを1セット足すだけで得られる快適。ささやかな贅沢だ。
あまりのども渇いていないし、そのままビビィに潜り込んで一寝入り。道路からそんなに離れていないので車の音は聞こえるが、川の流れの音にほとんど消される。
暗くなり切る前に火を起こそう。今回は家に残ってた炭っぽいもの消費キャンペーンだ。木炭1個とオガ炭を2本分くらい。なんだかんだで使い勝手のよいヘキサゴンウッドストーブの出番が多い。オガ炭の火付きの悪さはこないだ実感したのでエスビットで木炭に火をつけてそこからオガ炭にゆっくり熱を加えていくことにしてみた。これで楽に火付けできた。乾いた小枝があまりなかったのでエスビット使ったが、あればそれを焚き付けにできただろう。火吹き棒がわりにZERO PUMP使ったら楽だった。取り回しのよいエアポンプはすばらしい。
夕食はモツ鍋。家で作るときに材料をちょっとだけ取り置きして冷凍に回してあったのを持ってくる。そろそろ冷凍モツの在庫も切れるから買わないと。
おいしく食べて、残り3割くらいの具になったところで麺を入れる。マルタイラーメンのシリーズは手頃な長さの細麺でこの用途に向いていると思う。
すぐ火が通るしおいしい。麺を食いきって少し具が残ったまま蓋をしてあとは明日の朝へ回そう。
かなりお腹いっぱいなんだけど、せっかくだから焼き鳥を焼く。TrailPotのS1200の方を使っているがこのフライパンが手頃な大きさ。鶏モモとか焼くときにもちょうどいいサイズ。お湯わかすだけ調理ならいらないのだけれど、せっかく川旅なら何か作りたいこだわり。
ほどよい熱を出し続けるオガ炭の火。2本目を放り込んで、たぶんトータル6時間以上は燃えていたのではなかろうか。とても火持ちがいい。適当に気が向いたらTiポットに水入れて載せとくとほどなく湯が沸くという、常時火がついてる北国の田舎のストーブとかと同じノリだ。
夜も更けてきた。このまま休むことにしよう。深夜になり予報になかった雨が降ってくる。パラパラ雨なので、幕のはねあげを降ろさずとも濡らしちゃ行けない荷物の防水バッグ収納だけ確認してそのまま寝ているだけで凌げた。
朝のTrail Potの様子。脂で硬化している。モツから出る脂ってすごいよな。
ガスストーブで温めて、レトルトご飯と卵をいれて雑炊にする。
ほどよくご飯がやわらかくなったらできあがり。ご飯がスープを吸ってくれるので、残す液体もなく食べきれて満足だ。
食休みのあとコーヒーブレイクを入れたりしながら2時間以上すごし、ゆっくりと撤収はじめる。10時ごろには完了した。電車の時刻が律速要素なので今日はかなりスロースタートだ。野営地は痕跡を残さずに。
荷物をスターンに再設置。ゆるい場ではバックパッドをゆるめると荷物の底がいい背もたれになって快適だったりする。
出発して一つ瀬を越えると右岸にさらに広く野営適地が。ここは橋が直接見えてしまうからクルマのライトなどで実際にはあまり快適な夜を過ごせないのかもしれないけれど。
この時間でもまだモヤが強いので写真はぼやけぎみになるけれど、おだやかな流れの、いい景色だ。
キャンプ場エリアも、やっぱり川辺は水際まで植物に覆われてしまっているので、お子さん達がちょっと水を触りに、という様子ではない。
そしてやって来る本日の強敵。第四久慈川橋梁だ。毎年ここのポーテージで苦労させられる。だいたい左に寄って半水没テトラを足元注意しながら歩くんだけど、右端は前から興味あったんだよね。
柱の下の茂みに艇をひっかけて、橋脚下の陸地を使ってスカウティングしてみる。通れそうな流れだがテトラの間にできているため障害物が角張ってる。底はともかく側面をこすると艇が損傷しそうな不安はあるが、行けそうではある。うーん、迷う。
でも中央から左にかけてのここをポーテージするのもつらいし、行く!
結果としては余裕でした。水路状の先で真ん中を邪魔するようなコンクリが顔を出していたりはしていたけれど、流れが早いわけでもないからすんなり回避できた。
またしばしまったり。流れていないかのように見えて、岸を眺めているとちゃんと進んでいることがわかる。ちょっと物足りないからパドルは回すけれど。
ドア。この枠部分が上流に残っているというゆーみーさん情報を得て探しながら下ったつもりだったんだけど見つけられなかった。
上小川橋のたもとはいちおう上小川駅から乗るためのゴール候補1ではあっただけど、この植物繁茂ではとても利用できない。ここは広い石と砂の河原だったはずなんだけど、まったく様相が異なる。
ところどころで浅くなったりしながら、右手に良さげな河原がでてきたりするが、中洲なので野営には向かない。
左岸の上小川キャンプ場は植物に支配されておらず。
橋梁をすぎて右へ回り込む右岸は野営適地として期待できる。
とはいえ、やっぱり植物が水際まできてる場所が多い。
回り込んだ最後で砂と石の駆け上がりのような場所がある。多少の水位変動には耐えるし、陸路で避難もできるしで、ここは野営向きといってよいと思う。
いまだ谷間はもやが漂っているところで中ボス級難所の第二久慈川橋梁が登場。
左岸にあがってスカウティング。とりあえず左半分は通行不能と思ったほうがよいな、これは。
右岸をズームしてみると、ここはちゃんと見れば通れそうにみえる。
再出艇。うまく漕ぎ上がり気味に右岸寄りに行けた。この橋脚の左を抜けて右へ合流するのは行けそうだ。実際にそうしたが、問題なかった。ちなみに一番右はスカウティングできる場所がないし枝が垂れ下がってるしで、詳細不明。
そしてこのあと、ある意味今回の川旅で最大の衝撃が訪れた。
仮設…橋…だと?
まさかここで再び悪魔の建造物と相まみえるとは。工事のためにごく最近つくられたもののようで、まだ筒の入口に滞留物は少なく内部もクリアになっているところのほうが多い。現状では通れるものと判断したが。
通過した下流側から。内部は素直にしてれば問題なく通れるが、内側がひだひだになっている感じなのでうっかりパドルをひっかけて詰まらせたりしたらまずいかもしれず注意は必要。
しかし両岸みてみてもポーテージして再出艇しやすいとはお世辞にも言えない。今後どのくらいの期間これが存在するかで久慈川ダウンリバーを選ぶ率は変わってくると思う。早く工事を仕上げて撤去してもらえるとうれしいが。
西金の左岸の河原。ここも一面が石の河原だった記憶があるが、すっかり野原になっている。
昨年のゴールにした、左からの小さな川の合流部。もはや植物で覆われすぎてあがれる道がみつけられないほど。ゴールの選択肢からは外さざるを得まい。
2本の橋をくぐる。ここから先は3度目となるはず。岸辺の植生が竹中心に切り替わったような覚えがある。
どうという瀬があったりするわけではないが、岸が崩れて倒れ込んだ竹が川の通行を妨げる。
大内野橋の手前でお二人の釣り人に遭遇した。ルアー釣りで、川幅がさほどないところなので対岸ギリギリをそっと漕ぎ抜けるのに気を遣う。下流側の人の様子をみていると、3回キャストして3回ともヒットして釣り上げていた。遠目だけど稚アユっぽい。足元にビクがあるのでなければ、たぶん即リリースしているんだと思う。さすが禁漁期間だけあってよく釣れる。しかしこの橋から丸見えの場所で、漁協さんにみつかったら大変だろうに、勇敢だ。実はここはもう久慈川漁協の管轄エリア外だったりするのだろうか?
川幅が広がり流れがゆるく、風もないので川面が鏡面のようになっている。いまでも充分に美しいが紅葉シーズンはさらにきれいだろう。
下小川橋は直下に障害物が設置されている。以前右を選んでライニングしたが、昨年のゆーみーさん情報では左端が通れるとのこと。
この、みーさんルートを使えたので楽に通過できた。
しばらく浅い場所があるので流れをみながらライニングを避ける。
ここで平山橋が見えてきた。
昨年あたりまで工事していた沈下橋で、大きな漂流物で橋が損傷しないように作られた馬がついている。しかし竹を中心にかなりのものがひっかかっていて通れなくなっている。
しかしそれでも中央付近に1ヶ所、きれいに障害物クリアされているところがあってよかった。
くぐってすぐ左の岸でゴールする。ここも去年は石の河原で、かつ漁のための杭列と小屋が設置されていたはずの場所だ。
除草されていて道路まで歩くのは容易い。パッキング作業場所もあるだろう。
足元を小魚がたくさん泳いでいる。見づらいがおそらくこの写真内で8匹くらいいると思う。魚種はわからないが、鮎なんだろうか。
パッキングは草地の上にマタドールのシートを敷いてその上に荷物を移し、できるだけ葉っぱや砂を荷物に巻き込まないよう注意しながら行う。Zipに噛むことがない、というのはこのような環境での撤収ではとてもありがたい。
30分ほどでパッキング完了して道路へ出る。
橋を渡る。四万十川で沈下橋を渡ったときは縁に何もなかったため落ちそうで怖かった記憶があるが、曲がりなりにもちょろっと柵っぽいものが付いているだけで安心感がある。
上からみるとさらに馬のところにかかっている漂流物の多さを実感する。こいつの撤去は手間がかかるだろうから現実的ではないか。だがそこをなんとかお願い、という気持ちをこめて今回のお礼ふるさと納税は常陸大宮市に出すことにしよう。
踏切を渡って右へ道なりに歩くとほどなく下小川駅へ。
電車の時刻までまだ30分あるので、とりあえず荷物をおいて着替えなどだけ引っ張り出して隣のトイレへ。ここで身体を拭いたり乾いた服に着替えたりした。さっぱりできて気持ちいい。
向かい側のホームにうつって、14時過ぎの列車に乗り込む。ワンマン運行じゃなかったものだから車内で家までの切符清算をしてもらえた。これであとは帰るだけ。水戸駅での乗り換えもスムーズで、ちょっと食べ物を買い込むくらいの時間がとれた。都内までのグリーン車内で軽食をとろう。
恒例の秋の久慈川でした。順調に楽しく川旅できたのだけれど、いろいろと突っ込みどころも多い。大きな橋をかけているのでその間の制限がついてまわるけれど、いずれ自由に下れるように戻るのでしょう。そう信じたい。
平時は釣り人への配慮が必要な川なので、鮎釣り解禁前の5月と10月あたまの禁漁期間をうまく使ってまた来ようと思います。
今回のふるさと納税:常陸大宮市 笑顔大吉ポーク 冷凍しゅうまい